酸素療法は、医療において、点滴療法と同じくらいメジャーでどの職種でも携わることの多い業務だと思います。
そんな酸素療法について、皆さんはどのくらい理解していますか?
酸素は多すぎると、酸素中毒やCO₂ナルコーシスなどを引き起こします。
少なすぎず多すぎず必要な量を確実に届けなければなりません。
今回は酸素療法の基本と、使用する器具の選定ポイントなどについてお伝えします。
CO₂ナルコーシスについてはこちらで解説していますので、ぜひご覧ください。
酸素療法とは
酸素療法とは酸素不足の体に高濃度の酸素を送ることで、酸素供給量を増やす療法です。
酸素療法には、①高い濃度の酸素を吸入させることでPaO2を上げ、組織内の酸素供給を改善させることと、②低酸素血症を是正し、心負荷、呼吸仕事量を減らす2つの目的があります。
低酸素血症とは
低酸素血症は、血液中の酸素分圧が低下している状態です。
酸素療法は呼吸不全のうち、低酸素血症の改善が目的です。
前回、低酸素血症(酸素化障害)の原因として、4つ挙げたのを覚えていますか?

肺胞低換気、拡散障害、シャント、換気血流比不均等です
酸素分圧の低下(例えばSpO₂の低下)が起こった場合、SpO₂が低いからと言ってどんどん酸素の量を増やしても意味がない場合があるということが前回の記事をしっかり読んだ皆さんにはよくわかっていただけると思います。
酸素療法の適応なのか、酸素療法では対応できないのかアセスメントし、正しく酸素療法を選択しましょう。
酸素療法器具
酸素療法の適応と判断したら、次は必要な酸素流量を予測して酸素療法器具を選択します。
酸素療法器具には大きく分けて低流量酸素器具と高流量酸素器具に分けられます。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
低流量酸素器具
患者の口元に流れるガスの量が少ないものを低流量酸素器具と言います。
患者の呼吸パターンにより酸素濃度がばらつくものの、構造が単純でセッティングしやすい器具のため、多くの病院で採用されていると思います。
おおよその酸素濃度は24~100%で使用できます。
低流量酸素器具には以下のものがあります
- 鼻カニューラ
- 簡易酸素マスク
- リザーバー付きマスク
- 開放型酸素マスク
鼻カニューラ

使用流量:1~4L/min
酸素濃度:20+(酸素流量×4) 24~36%
吸気時にカニューラからの酸素と周りの空気を合わせて吸い込みます。
メーカーは6L/minまで使用可とされていますが、乾燥した純酸素による粘膜刺激のため、4L/minまでを推奨します。
呼気は吸入酸素濃度に影響しません。
簡易酸素マスク

使用流量:5~8L/min
酸素濃度:40~60%
マスク容量:約180ml(リザーバ―の役目)
吸気時にマスク内の酸素とマスク左右の穴から空気を吸い込み、呼気はマスク左右の穴から出ていきます。
呼気終了時はマスク内に残った呼気で一時的に二酸化炭素濃度が高くなるため、次の吸気までにマスク内が酸素で満たされている必要があります。
例えば、酸素流量1L/minで使用した場合、次の吸気までにマスク内の呼気が全て酸素に入れ替わらないため、呼気を再呼吸してしまいます。
指示通り酸素量を漸減した結果、マスクのまま5L/min未満の酸素流量で使用しているのを見かけることがあります。
酸素流量に応じて、その都度酸素器具を見直しましょう。
※マスクは顔にしっかりフィットするように装着させます。
リザーバー付きマスク

使用流量:6~10L/min
酸素濃度:60~100%
リザーバ容量:600ml
吸気時にはマスクについている一方向弁が閉じて、マスク内部の酸素とリザーバ―から酸素を吸い込み、呼気時には一方向弁が開いて呼気が排出される構造になっています。
次の吸気までにリザーバ―が膨らんでいる必要があるため、酸素流量が足りていない場合は呼気を再呼吸したり、吸気ガスが不足し呼吸苦が増強したりする恐れがあります。
リザーバーが吸気時にへこみ、次の吸気までにリザーバーが膨らむことを必ず確認しましょう。
リザーバーが吸気時にへこまない場合は大気ばかりを吸っているのでマスクのフィッティングをし直します。
リザーバーが膨らみ切らない場合は不足した吸気ガスを大気から吸えるように一方向弁を片方外しましょう。
開放型酸素マスク

使用流量:3~10L/min
酸素濃度:40~60%
吸気時はカニューラのように鼻や口から酸素と周りの空気を吸い込み、呼気はマスクの開口部から容易に外へ排出されます。
鼻カニューラと簡易マスクの間に位置するマスクです。
こちらのマスクは従来のマスクに比べ、鼻口をすべて覆うわけではないので呼気が溜まらず、匂いや湿気、息苦しさが軽減され、患者によるマスク外しが少なくなるとされています。
高流量酸素器具
患者の口元に高流量の規定酸素濃度の混合ガスが流れ続けるような酸素器具を高流量酸素器具と言います。
正しくセットできれば、患者の呼吸によって酸素濃度が変わらないのが高流量酸素器具の特徴です。
高流量酸素器具は使用できる酸素流量計が決まっています。
こちらから確認しましょう。
高流量酸素器具は以下のものがあります。
- ネブライザー
- ベンチュリーマスク
ネブライザー


使用流量:4L~15L/min
酸素濃度:28~50%
いわゆるインスピロンネブライザ―ですね。

ネブライザーのダイアルを指示酸素濃度に合わせたら、下の図を参考に酸素流量を設定します。

詳しい設定方法はこちらを参照してください。
設定が完了したら、必ず呼気の穴から蒸気が出続けていることを確認しましょう。
もし、吸気の時に蒸気が途切れていれば吸気ガスが不足しているので酸素流量を上げて対応します。
ベンチュリ―マスク

ベンチュリ―マスクとは、ベンチュリ効果という流体力学現象を利用した酸素療法器具です。
酸素を細い管内に通すことで気流を生み出し、周りの空気を巻き込んでトータル流量が増える仕組みです。
ダイリュータと呼ばれる6色のパーツには酸素濃度が表示ており、ベンチュリ―マスクに装着することで酸素濃度を設定します。
ダイリュータには酸素濃度と適正流量の表記があり、表示の通りに酸素流量計を設定することで使用できます。

加湿の必要性
酸素流量における加湿の必要性ついて
配管から供給される純酸素の湿度はほぼ0%です。
そのため、酸素流量が増すにつれ粘膜保護のために加湿の必要があります。
加湿の目安として、日本呼吸器学会では以下の通り示されています。
室内気湿度が充分保たれていれば,鼻カニュラで4 L/分まで,ベンチュリマスクで40%までは,あえて酸素を加湿する理論的根拠はない.
日呼吸会誌, 42(2): 138-144, 2004
施設ごとに基準が定められていると思いますが、上記を参考に正しく加湿をしましょう。
まとめ
酸素療法について理解できたでしょうか。
多くの場合、SpO₂の値により酸素量を増減の指示がDrより出されると思います。
特に低流量酸素器具を使用している場合は、酸素流量が変更になったタイミングで酸素器具を見直し、その時の酸素流量にあった酸素器具を正しく選択するようにしましょう。
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